物語の舞台は芸術の都フィレンツェ
中世後期からルネッサンス期にかけて、芸術・文化の中心地だったフィレンツェ。
アルノ川両岸に広がるこの街が、今回の冒険のふりだしとなる。

ヴェッキオ宮殿フィレンツェのシンボル的鐘楼
「あれはどう見てもヴェッキオ宮殿じゃないか」
 病院のベッドで覚醒したラングドン教授が、病院の窓の外に遠くそびえる堂々たる建物を指さしてそう言ったように、この街のシンボルといっていいだろう。ゴシック様式の3階建ての上にそびえ立つ94メートルの鐘楼からは、共和国時代のフィレンツェの人々が議論を交わし、挙手による採決を行っていたというシニョリーア広場を見おろすことができる。
 現在、宮殿はフィレンツェ市役所の庁舎として使われており、かつての評議会会場だった2階の「五百人広間」や3階の「謁見の間」は観光客に公開されている。
 追っ手の急襲を受けたラングドンは、医師のシエナの導きで、夜明けのフィレンツェの街へと飛び出していく。

ボーボリ庭園ピッティ宮殿に隣接するフィレンツェ最大の庭園
 ロマーナ門のすぐ脇にあるポルタ・ロマーナ広場からアルノ川の南岸までに広がる約45000平方メートルのイタリア式庭園で、ピッティ宮殿と隣接している。オペラ誕生の地といわれる野外劇場やネプチューンの噴水などが有名だが、丘の頂にあるベルヴェデーレ要塞からは、フィレンツェ旧市街の街並みが一望できる。

ピッティ宮殿メディチ家の絵画や宝飾品を収蔵する歴史建造物
 アルノ川南岸に位置する低い谷にあるルネッサンス様式の宮殿で、16世紀半ばにメディチ家のコジモ1世が現在の形に造りあげた。トスカーナ大公国の宮廷が置かれていたが、堅牢な石造りの城塞でもあり、かつてナポレオンもこの地における拠点としたという。メディチ家関連の絵画や宝飾品のコレクションを誇り、いくつもの美術館や博物館を包含するピッティ美術館で公開されている。宮殿の裏側には、広大なボーボリ庭園が広がる。
 旧市街へは、アルノ川をまたぐフィレンツェ最古の橋ヴェッキオ橋で繫がっており、その2階部分には、ヴェッキオ宮殿とピッティ宮殿とを結ぶ秘密の通路であるヴァザーリ回廊がある。

ドゥオーモ(大聖堂)〈最後の審判〉が描かれた荘厳なるドーム
 ドゥオーモは大聖堂の意味で、正式にはサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂といい、洗礼堂や鐘楼などが寄り集まったドゥオーモ広場の中にある。
 高さ100メートルを超える聖堂のトレードマークの赤いドームは、ルネッサンス建築の創始者ブルネッレスキの作。大聖堂内部への出入りは無料で、天蓋には、ヴァザーリとツッカリ作の〈最後の審判〉が描かれている。ドメニコ・ディ・ミケリーノが描いた、『神曲』を手に赤いローブをまとったダンテのフレスコ画も飾られている。