ロバート・ラングドン ◉ハーヴァード大学教授 開巻一番、読者を驚かせるのは、ラングドンが記憶喪失状態で登場すること。医師によれば、銃弾が頭をかすめ、脳震盪を引き起こしたことが原因という。そんな障害を引きずりながらも、教授の頭脳に翳りはない。ダンテの『神曲』に導かれながら、美術史や宗教図像解釈学の知識を武器に、難問奇問の数々を快刀乱麻を断つごとく読み解いていく。美しき相棒シエナとのパートナーシップも読みどころだ。

シエナ・ブルックス ◉女性医師 30代前半、すらりと背が高く、運動選手と見紛うばかりに颯爽とした足取りの女性医師。金髪のポニーテイルで、驚くほどなめらかな肌と、茶色の瞳の持ち主だ。突如訪れた危機を、彼女の先導でくぐり抜け、シエナのアパートメントに逃げ込んだラングドンは、彼女が並外れたIQの持ち主であることを知る。少女時代から天才の孤独を味わったシエナの苦難の経験が、彼女に大胆な行動力を授けた。

エリザベス・シンスキー ◉WHO事務局長 世界になだたる国連の専門機関のひとつ世界保健機関(WHO)を率いる彼女は、御齢61歳の女性。引き締まった口許、情感を湛えた瞳、長い銀色の巻き毛。その佇まいは、不朽の彫像のように気高く、力強い。熟練の外科医であり、保健衛生の分野で世界の最前線を司る大組織を男顔負けに取り仕切る、そんな強面の彼女にも、知られざる過去があった……。  総監 ◉”大機構”の首魁 謎の組織〝大機構〟を率い、アドリア海に浮かぶ豪華クルーザー〈メンダキウム〉から指令を発する。日焼けした肌と深くくぼんだ目を持つ小男で、見栄えはパッとしないが、社会の片隅で営む秘密のビジネスで人知れず巨万の財産を築きあげた人物。配下からは〝総監〟の名で呼ばれている。野心や欲求を実現するための機会を依頼人に提供する仕事を、彼は少しも恥じてはいない。

クリストフ・ブリューダー ◉隊長(元軍人) 屈強な肉体の持ち主で、与えられた任務は感情を交えずに遂行する。軍隊に所属した経験もあり、任務や指揮系統を重んじる態度も身につけている。率いる作戦部隊は組織の切り札で、招集されるのは危機的状況に限られている。ラングドンは、後方から迫るブリューダーの影を意識しながらの行動を強いられ、高度な監視機器と豊富な人員を駆使した追尾が彼を苦しめる。 ベルトラン・ゾブリスト ◉大富豪・遺伝子工学者 世界的に有名な遺伝子工学者。生物学関連の分野でいくつもの特許を取得して、若くして巨万の財を築きあげた。ダンテの熱狂的な研究者だった彼は、事件の6日前に教会の塔から身を投げ、故人となっていた。増加の一途をたどる人類は、人口が激減しないかぎり、生き延びることはできないという彼の主張は、果たして人類滅亡を予言するものなのか、それとも──。